ストーリーとしての競争戦略

ある登山家がピレネー山脈を登山中に雪崩に遭遇し遭難。
すべての装備が失われたことに気づき、
ポケットに残っているものと言えば、
わずかのチョコレートと食料。

最悪なのはコンパスがなくなったことだった。
これでは山を降りることなど到底できない
というあきらめの気持ちが漂った。

ところが、
ある隊員のポケットから1枚の地図が出てきた。
これを見ているうちにだんだんと元気が出てくる。

尾根がこういう風に走っていて
周囲の地形がこうなっていて、
どうやら我々はこの辺にいるのではないかと・・・。

今、太陽がこの辺に出ていると言うことは、
東はこっち・・・。
地図の上に下山のルートの印をつける作業が始まった。
つまり、
ストーリーを組み立て「下山戦略」を皆で共有したわけです。

下山の過程には想定しなかった幾多の困難がありましたが、
印をつけたルートを皆で信じて、
それを頼りに困難をひとつまたひとつと乗り越え、
奇跡的に下山をすることができた。

ゴール達成というわけです。

この話から学びたい点は、
実はこの後のオチです。

雪崩の状況は山麓にも届いており、
麓の人々は救援隊を組織していました。

しかし、
上空から探しても手がかりは見つからず、
生還は絶望的という半ばあきらめの状況に、
登山隊が生きて自力で戻ってきたのですから、
驚いたはずです。

「あの状況で、いったいどうやって戻ってこれたんですか?」
という質問に、登山隊のリーダーは、
一枚の地図を取り出し、
「この地図のおかげで助かりました」と見せる。

それを見た救援隊は、笑ってこう言いました。
「こんなときによくそんな冗談を言う余裕がありますね。
これはアルプスの地図じゃないですか」
隊員たちが良く見ると、
確かに、
それはピレネーではなくアルプスの地図だったのです。

(「ストーリーとしての競争戦略」 楠木 健)

面白いですね。

この話から何を学びますか?

信じる者は救われる?

目標を設定しても仕方ない?

あきらめなければ、何とかなる?

このようなエピソードは、
聞いた人それぞれに全く違う教訓を与えます。

エピソードをどのように活用するか?
あなたの組み立て方ひとつで、
人の心に響くストーリーを作り出すことが出来ます。

  
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

よく読まれている記事